日本でいう丑の刻参り?アフリカのwitchcraft(魔術)について調べてみた

   

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大学院で学んでいる内容を書いていく第二弾!今回はWitchcraft(魔術・呪術)について書いてみます。

 

Witchcraftと言われてもピンと来ないかもしれませんが、日本では丑の刻参りなんかがそれに当たるのではないでしょうか。夜中にワラ人形に釘を刺すってやつです。

何か例を挙げられないかと思ってググってみたら、恐ろしいサイトやらお話がたくさん載っていました。呪術の代行業者とか、自宅で呪う「わら人形セット」を販売しているサイトもありました・・・。

興味ある方は調べてみてください(笑)。

 

アフリカの多くの国でもWitchcraftがあり、国によってその発生プロセスが異なっています。今回は文献を読んだナミビアとタンザニアを紹介していきます。

 

ナミビアのWitchcraft

まず読んだ文献は、”’Our Families Are Killing Us’ HIV/AIDS, Witchcraft and Social Tensions in the Caprivi Region, Namibia”。「自分の家族が私たちを殺そうとしている」と、衝撃的なタイトルです。

Capriviというナミビア国内の北東にある、周りに比べて発展していない地域の事例です。理解する上で重要なポイントは地域の社会的背景の変化とjealousy(嫉妬)。

 

Witchcraftのうまれる背景

“Jealousy is the mother of witchcraft – they go together” (Thomas, 2007, p.282)

 

この文が印象的でした。背景をまとめてみました!

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①国の独立以降、これまでの地域内での人々との関わりが薄くなり、外に稼ぎに行く人と村に残る人との格差ができ、これがjealousyをうむようになりました。

②また、同時期にHIV/AIDSが流行し、HIV/AIDSにかかるということは社会的に汚名(Stigma)があるためそのテスト受けない人が多く、HIV/AIDSにかかることはmisfortuneだという感覚が育ったようです。

この二つの事柄がベースになりWitchcraftが形成されていきました。

 

そして、

・寿命より前に死ぬことは何か悪意のあることにさらされているという概念

・AIDSによる症状もwitchcraftのせいだと思われ、今までの病気よりも治すのが困難

からwitchcraftが人々の中でよりpowerfulになり、人のコントロールをこえたものという認識が形成されます。

 

Our families killing us

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教育を受けていたり財産を持っていることがJealousyをうみ、同僚や家族からwitchcraftをかけられるようになります。特に、経済的に活動的な世代の人が対象になりました。

そこで、”Our families killing us”と言われるようになります。

 

家族からwitchcraftをかけられるというのは何か分かりづらいですよね・・・。

兄弟からwitchcraftをかけられた例が載っていました。

HIV/AIDSになる

⇒Traditional doctor(伝統医)に、誰かによるwitchcraftだと診断される(文献にある例だと、その人の弟)

⇒患者が亡くなる。witchcraftをかけたと疑われた弟は復讐を恐れて村を離れる

⇒家族やコミュニティの助け合う関係が崩れる

 

witchcraftが診断されると、その家族は隔離されるか村から出て新しい村を作らなければならず、従来の村がどんどん消えていったようです。

 

witchcraftの弊害

・HIV/AIDSの症状が出てもwitchcraftを疑いTraditional doctorに頼るため、適切な治療や投薬を受けられない。病院に行った時には手遅れの状態になってしまう

・HIV/AIDSの拡大を防げない(HIV/AIDSに対する偏見や汚名(Stigma)があるため、HIVのテストを受けないため)

・人々の社会的関係性の破壊(親戚がwitchcraftをかけたという疑いが起こる)

 

タンザニアのwitchcraft

背景

タンザニアの田舎の地域ではHIV/AIDSはモラルに反した行動の結果で、神の罰(punishment of God)であり『悪い病気(bad disease)』と考えられていました。

そしてHIV/AIDSはstigmaであり、時には親戚からも拒絶されてしまいます。

 

Witchcraftがうまれた背景はナミビアの事例と似ています。

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教育や健康にかかる出費の増大に伴い都会に出稼ぎに行く人が増え、その人たちが相対的に裕福になることや家族への仕送りをめぐりjealousyがうまれ、witchcraftにつながります。

また、都会に出るということはHIV/AIDSに感染するリスクが増えます。村にいる人にとっては、出稼ぎに出た人からの仕送りは重要だけど、村にHIV/AIDSを持ち込まれるのは嫌だ・・・というジレンマを抱えることになります。

 

”Chira”という病気の出現

ChiraというのはHIV/AIDSと似た症状で、村にあるしきたりや伝統を守らないとかかると言われている病気です(実際にはHIV/AIDS=Chira)。

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HIV/AIDSにかかった全ての人が”Chira”にかかったと見なされるわけではなく、例えば体を売ってお金を稼ぐ女性が病気になった場合はHIV/AIDSだと見なされ、日頃のimmoralな行いの結果だと思われてしまうそうです。

 

witchcraftが人々の社会変化、そしてjealousyからうまれたという点。また、HIV/AIDSと深く関わっていて、人々の尊厳(dignity)やモラルに結びついている点がとても興味深かったです。

 

こういった地域でHIV/AIDSの予防啓発運動を行うとしたら、どのように活動したら良いのでしょうか?また、witchcraftにより起きるnegativeな影響(村を出ていかないといけない、親戚同士の関係が崩れるなど)を減らすにはどうしたら良いのだろうか?

まずは地域の背景を知らないといけないということをこれらの研究から学びました。

 

わら人形とか、日本の呪いはどんな背景から誕生したのでしょうか。調べることは無いと思いますが、アフリカと似たように社会変化だったりJealousyからうまれてきたものなのかもしれませんね。

「面白い」という表現はふさわしくないかもしれませんが、witchcraftには勉強していてとても興味深かったです!

 

マラウイでWitchcraftにかかった?

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家の近くにいたマラウイ人の医者(?)が売っていた怪しげな薬。本文とはあまり関係ありません(笑)

マラウイにも強力なwitchcraftをかけることのできるTraditional healerがいたようです。職場の同僚に聞いたら、その地域には決して近づいてはいけないと言われました。やはり、田舎の地域にいるそうです。

 

ちなみに私、マラウイにいた2014年は大変な厄年で、偶数月になると毎回大きめな怪我や不幸にあっていました(財布や携帯の盗難、足が腫れて一週間歩行困難、足の骨折など)。

ほぼ100%が自身の不注意なのですが、今振り返ってみるともしかしたら誰かにwitchcraftをかけられていたのかも・・・。

というのはちょっと不謹慎ですかね。(笑)

 

興味がある人は「ガダラの豚」を読んでみてください!

ここまで読んだらWitchcraftに興味が出てきてしまいましたね?(笑)

もっと知りたい!話を読んでみたい!!という方におすすめの小説がこちらです。

中島らもさんの『ガダラの豚』という作品です。

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