途上国の教育の質は何によって決まる?大学院、マラウイ、くもんでの学びからの考察

   

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全然ブログを更新していませんが、大学院の私のコースでは全ての授業・課題・試験が終わり、後は修士論文を残すのみとなりました。早く終わらせて帰国したいのですが、なかなか論文がはかどりません・・・。

アフリカの算数教育の質に関する文献の中のこの一文を読んで、ふと、久しぶりにブログでも書いてみようかという気持ちになりました。

“The quality of education cannot exceed the quality of its teachers. Consequently, the quality of mathematics education in Southern Africa cannot exceed the quality of its mathematics teachers” (Kazima, 2013).

教育の質は教員の質を上回ることができない。結果として、アフリカ南部の算数教育の質は算数教員の質を越えることができない。

修士論文のテーマをマラウイにおける算数初等教育の質について考察することにして、カリキュラムに着目しているのですが、どうもカリキュラムに関する先行研究が少ない。

先生の質よりもカリキュラムが大事でしょ!と個人的に思っていたモヤモヤしていた時に出会ったのが上記の文章です。

 

文献ばかり読んでいても疲れてしまうので、息抜きも兼ねて「途上国の教育の質は何によって決まるか」をこれまでの私の教育に関する経験を振り返って考えてみます。よろしかったらお付き合いください!!

最初はカリキュラムの質が絶対に大事だと思っていましたが、(特にアフリカの国々では)教員の質の方が大事なんじゃないかと思うようになりました。

 

大事なのはカリキュラムの質だ!!くもん時代の経験と学び

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新卒の社会人として入社したくもんで学んだことは、カリキュラム・教材の重要性でした。くもん式は、これまで50年以上かけて築き上げてきた教材を通じて、一人一人に合ったちょうどの学習を提供しています。

スモールステップで難易度の上がっていくプリントと、プリント内にあるヒント(例題)を通じて子ども自身が自分で問題を解いていく「自学自習」の姿勢が身に付きます。「自学自習」を通じて、子どもは学力だけでなく「やればできる!」という自己肯定感を育んでいきます。

くもんのカリキュラム・教材がすでにかなり高い質にあったので、くもん式教室の指導者の育成は、「教材の意図や流れを理解して、いかにそれを生徒自身の学習に活かすか」でした。

くもんでは指導者が子どもに教えるのでなく、教材が先生であり、指導者の役割は子どもが教材から学ぶ手助けを行うことです。

 

くもんでは、『カリキュラムが圧倒的に優れている』という前提があったので、自然とカリキュラムの重要性が私の中に意識づけられていたように思います。

以前、こちらの記事でくもんの算数について書いております。

 元くもん社員が語る!算数の計算力をつけるための3つのポイント

くもんに興味がある方は公式HPもご覧ください。

公文式の特長~公文式学習とは~

7月からはお得に学習が体験できる、「夏の特別学習」がありますよ!

(くもんを大絶賛していますが今はただの元社員なので、報酬をもらっているとかいうことは全くありません。笑)

 

やっぱりカリキュラムの質が大事だ!マラウイ時代の経験

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青年海外協力隊としてマラウイにいた2年間はコミュニティ開発隊員として、農村部の農業に関わる仕事が主な内容でした。比較的活動の自由度が高かったのでよく行く村の教育にも関わらせてもらいました。

そこで撮影した動画がこちら。教育者として国際協力に関わっていきたいと思う原点になった動画です。

 

動画の生徒は当時小学校4年生でクラスの中でも比較的よくできる生徒でした。しかし、動画を見ていただくとわかるように、『よくできる=正確に数が数えられる』です。

マラウイの学校では九九を暗記する必要がなく、ノートの表紙に載っている九九表をみるか、動画のように線を書いて(あるいは指で)数えて計算します。49÷7なので、本来ならば7×7の九九を覚えていれば一瞬で解けます。

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ノートの九九表(下の方のMultiplication Tables)

「九九を覚えるように指導しなさい!こんな指導方針があってたまるか!」と憤慨したことをよく覚えています。笑

 

教科書は内容が多すぎ、かつ練習問題が少ないというのが明らかで、カリキュラムの質に問題があることは明白でした。

私がマラウイにいた当時、JICAでは中等教育の教員養成プロジェクトが行われていましたが、個人的にはカリキュラムの改訂の支援を先にやるべきなのではないかと疑問に思っていました。

 

ちなみに、この当時の怒り(?)を綴ったのがこちらの記事です。

マラウイの小学生の算数教育における問題と現状に怒り狂った件

 

やっぱり教師の質の方が重要なのか!?文献から学んでいること

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それで、冒頭に引用した文に行き着きました。もちろんカリキュラムも大事だけれど、マラウイのような国であれば教員の質を高めることの方が優先順位を高くするべきではないか?と感じるようになりました。

冒頭の文献(Kazima, 2013)によると、教育の質の指標として下記の項目を挙げています。

(1) basic learning materials (生徒がノートやペンを持っているか)

(2) mathematics textbooks (生徒が算数の教科書を持っているか)

(3) pupil–teacher ratios (全生徒数÷教師数。教師一人に対する生徒数)

(4) class size (一クラスあたりの生徒数)

 

2011年のアフリカでの学力調査によると、マラウイで(1), (2)を満たす生徒の割合は順に73%と24%。(3)は88、(4)は66です。これが日本だと、おそらく(1)や(2)はほぼ100%、(3)や(4)も30~40くらいではないでしょうか?

 

教師一人当たりの生徒数がべらぼうに多い中で、2000年代に改定されたカリキュラムでは、learner-centredな教育手法を取り入れるように推奨されています。

要するに、先生が一方的に教えるだけの受け身的な授業でなく、生徒同士で考えさせたり意見交換を行うアクティビティを通じて、生徒に色々なことに気づいてもらいましょうよという方針です。

生徒が少なければ先生も対応できると思うけれど、一クラスに60人以上もいたら非常に難しいだろうと想像できます。

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(たくさんの生徒が学習する教室)

低学年のクラスになると、机が足りなくて教室内の地べたに座ったり、教室が足りないので外で授業をしています。

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(机のない低学年の生徒の教室)

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(校舎の外で授業をしている様子)

物がない、先生が足りない、でも教科書の内容は盛り沢山でしかも子ども中心のスタイルで授業を進めるように求められるという状況。そんな条件下で効率よく質の高い教育を提供するために重要なのは、『教師の質・柔軟性』ではなかろうか。

無理難題を押し付けるカリキュラムを改訂すれば良いとは思うものの、改訂には時間がかかるし、教師不足にも関わらず生徒中心授業を推奨するなど、机上の空論になりがちです。だったら、教師の数を増やす・質を高めることが優先されるべきなのかと感じるようになりました。

 

こうやって途上国の教育について勉強していると、いかに自分が受けてきた教育環境が恵まれていたかと感じます。

最近では日本の子どもの貧困が注目されてきているし、日本の教育システムが世界に通じない若者(自分の意見がはっきり言えない、英語ができない)を再生産し続けている様にも感じているので、日本の教育に問題がないとは思えませんが・・。

気が向いたらこういったことも考察してみようと思います。

 

 

大学院で学んだ事とこれまでの経験を照らし合わせて書きたいと思うこともたくさんあるのですが、果たしてそういう記事に対して需要があるのか心配です。笑

感想などありましたらお気軽に送っていただけると嬉しいです!(contactフォームか、Facebookページからご連絡ください!)

 

 

 

Zikomo!!(マラウイのチェワ語で「ありがとう」)

 

【参考文献】

Kazima, M (2013) ‘Universal Basic Education and the Provision of Quality Mathematics in Southern Africa’, International Journal of Science and Mathematics Education 12(4), pp.841-858.

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